道しるべno.67 (2023年8月) 2024年4月より時間外労働の上限規制がスタートします。

 2019年4月、労働基準法の改正により時間外労働の上限規制が導入されました。

 この改正により法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなりました。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。

 ・時間外労働が年720時間以内

・時間外労働と休労働の合計が100時間未満

・時間外労働と休労働の合計について、「二ヶ月平均」「三ヶ月平均」「四ヶ月平均」「五ヶ月平均」「六ヶ月平均」が全て一ヶ月当たり80時間以内

・時間外労働が45時間を超えることができるのは年六ヶ月が限度

 さて最近、よく耳にする「2024年問題」とは5年間猶予されていた建設事業、自動車運転業務の上限規制のことで、とりわけ長時間労働になりがちな運送業や役員運転士等のドライバーの労働時間をどうするかが問題となっています。

画像

「自動車運転(ドライバー)の仕事と2024年問題」と聞くと、役員運転士として働く皆様にはどんな影響があるのだろう? と思う人も多いと思います。

 そこで今回は、自動車運転業務(ドライバー職)の労働時間について確認してみたいと思います。

 ドライバーについては、時間外労働の年960時間の上限規制が適用されます。

労働時間については、改善基準告示というものにより基準が定められています。この改善基準告示は法律ではないため、違反をしても罰則はありません。

(労働基準監督署の是正勧告、国交省の行政処分等を受ける可能性はあります。)

今回の時間外労働「年960時間」の上限規制は労働基準法により定められたものとなりますので、違反した場合は罰則の対象となります。そしてこの時間外労働「年960時間」の上限規制に合わせてこれまでの改善基準告示も見直されます。

 この改善基準とは「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(大臣告示)のことを言います。

自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間、休息時間等の基準を定めているものとなります。つまりドライバーについては、労働時間だけでなく、拘束時間、休息期間、運転時間も注意しながら、時間管理を行っていく必要があります。

「拘束時間」とは、労働時間と休憩時間の合計時間です。

つまり、始業時刻から終業時刻までの拘束されるすべての時間となります。拘束時間には、運転時間、整備を行う時間も含まれます。

「休息期間」とは使用者(会社)の拘束を受けない期間です。勤務終了後(終業時刻)と次の勤務(始業時刻)の間の時間であって、休憩時間や仮眠時間等とは異なります。休息期間は、疲労の回復、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、従業員の全く自由な判断に委ねられる時間です。

「2024年問題」とは簡潔に言うと、2024年の法改正等によりドライバーにも労働時間の規制が始まり、長時間労働ができなくなることを指しています。「~問題」と付くのは、その労働時間規制により経営や物流関連に大きな影響を及ぼすため、事前に対策を打つ必要があることから、関係事業者に注意喚起をしているのです。
「2024年問題」は主に荷主や運送会社側の視点で言われる言葉ですが、役員運転士にも当然、影響が出てきます。

例えば・・・「労働時間がより明確になる」
今後は労働基準監督署の臨検や国土交通省の行政監査の場で労働時間管理を一層厳しく見られるようになり、当社が労働時間を適正に把握していない場合は行政処分を受けることが想定されます。これにより従来曖昧だった時間が労働時間として明確になる可能性が有ります。

モーダルシフトから考えるドライバー不足と2024年問題 | もりや産業

2024年の法改正はドライバーの労働条件を改善して、自動車運転業界に人材を呼び込むことが主な目的であり、今後 役員運転士業がより働きやすい職場に近づくことを期待されています。「残業時間=ハード=稼ぐ」という認識も今後は改めなければいけないかもしれません。皆様、ご理解いただけたでしょうか。

 毎日、暑い日が続きますがお体にご自愛いただき今日も「安心・安全・快適」な運行をお願いします。

 

各部署からのお知らせ