スピード超過はドライバーが犯しやすい危険運転のひとつです。スピードがもたらす危険や運転への影響などを理解し、スピードを抑えた運転を徹底しましょう。
1.死亡事故に直結するスピード
【スピードを出すほど増す衝撃力】
スピードが増すに従い、衝突時の衝撃は大きくなります。その衝撃度はスピードの2乗に比例し、スピードが2倍になると衝撃度は4倍になります。(下図)
スピード超過による事故の多くが死亡事故や重大事故になるのは、このような衝撃力の大きさが原因となっています。その為安全運転にはスピードのコントロールが重要となります。
【わずかな速度超過でも重大事故に直結】
平成29年~令和元年に発生した規制速度超過違反での死者数は119人でした。このうち47人が時速20キロ未満、27人が時速30キロ未満の速度超過であり、時速30キロ未満の速度超過で死者数の約6割を占めています。(大阪府警調査)
「少しくらいスピードを出しても大丈夫だろう」という安易な考えは、重大事故につながることをしっかり理解しておきましょう。
車が衝突した時の衝撃力 車の速度と停止距離
2.スピードが運転に与える影響
【スピードに比例して長くなる停止距離】
スピードが上がるに従って、停止距離は長くなります。それは制動距離が大きく延びるからです。制動距離はおおむね速度の2乗に比例して長くなります。例えば時速40キロでは22mの停止距離ですが、時速80キロになると76mと3倍以上になります。(上図)
また、走行中はただ制限速度を守ればよいというものではありません。事故が起こりやすいカーブや生活道路、雨天時や夜間など、交通の状況や場面に応じて、スピードや車間距離を適格にコントロールすることが大切です。
【スピードと視力・視野】
運転では視覚からの情報が約9割といわれています。一般に視力とは「静止視力」をいいますが、運転で重要な視力は「動体視力」です。
動体視力はスピードによって変化し、静止視力で約1.1のドライバーが、時速70キロで走行しているときの視力は0.6以下まで低下するといわれています。
また、静止状態で約200度ある視野も、時速40キロで約100度に狭まります。時速130キロでは約30度になることから、視野が前方の中心付近に限られてしまい、必要な情報を見落としてしまうおそれがあります。
このように、スピードが上がると視覚からの情報が得られず、事故のリスクが高くなります。危険を早く発見し事故を防止するために、スピードダウンを心掛けて下さい。