役員運転手の雇用契約書に書くべき内容とは

役員運転手の雇用契約書に書くべき内容とは

役員運転手を雇用して業務に従事してもらうためには雇用契約書を締結することが必要です。また、役員運転手は業務委託によって確保することも多くあります。

ここでは雇用契約書の意味や、なぜ契約をする必要があるのか、業務委託契約書を交わす場合との違いについても詳しく解説します。

雇用契約書とは

雇用契約書とは使用者が労働者を雇用する際に両者の間で締結する契約書の一種で、労働条件や対価などについて詳細を記載したものです。

雇用契約の内容として使用者と労働者の間で合意を得た内容を明記し、互いに納得してサインすることにより合意を得るというプロセスを経て雇用関係が成立するという考え方が一般的になっています。

雇用契約書には契約期間や就業場所、勤務時間や休暇などに加え、給料や福利厚生などについても記載し、使用者と労働者の同意している内容が完全に一致していることを確認するのに用いられます。

詳しい労働条件については雇用契約書とは別に労働条件通知書を作成する場合も少なくありません。この場合には使用者が労働の仕方を指示し、労働者がその内容に合意するという意味合いが生まれます。

労働基準法では労働者に対する労働条件通知書の交付を使用者に義務付けているため、雇用契約書に詳細な労働条件が記載されている場合にも別に労働条件通知書も発行するのが通例です。

なぜ雇用契約書が必要なのか

役員運転手を雇用する際に雇用契約書が必要なのは法律によって義務付けられているからではありません。労働条件通知書は労働基準法によって交付義務がありますが、雇用契約書は任意で作成するものです。

口頭で条件を伝えて合意を得るだけでも法律上は問題がありませんが、後日になってからトラブルになるリスクが高いので雇用契約書を作成するのが賢明な対策です。

雇用関係にある場合には使用者は労働者の労務管理をしなければなりません。残業代が正しく払われていないと労働者が申し出るケースはしばしばあります。この際に雇用契約書があれば労働時間や残業代の計算の仕方まで全て互いに合意しているとわかります。

役員運転手は他の社員とは違う労働時間を設定して雇用することも多いため、労働者が他の人の労働時間から判断してもっと残業をしていると誤認している可能性もあるでしょう。

このようなトラブルの解決の根拠として用いることができるため、雇用契約書を締結しておくのが雇用者にとって安心です。

役員運転手の雇用契約書に書くべき内容

役員運転手の雇用契約書では業務時間や休憩時間、業務内容についての詳細な記述が必要です。役員運転手が毎日必要な職場もあれば、時折運転業務が発生しない職場もあるでしょう。運転業務がない場合の扱いについては明確に記載しておかないとトラブルの原因になります。

また、賃金についても月額固定なのか、運転業務に携わった時間によって決まる歩合制に近い形式にするのかも重要なポイントです。

雇用の際にはどの役員の運転にも対応するのか、ある役員の専属とするのかも予め決めておく必要があります。特定の役員に専属の運転手にする場合には、その役員が退職などによって役員から外れた際の雇用継続についての条件も明記しておいた方が良いからです。

また、役員運転手は会社役員を乗せて運転することから、上層部の限られた人たちしか知らない機密情報を耳にする可能性があります。情報統制のために、業務上で得た情報を社外だけでなく社内にも漏らさないといった内容を添えておくのが安全策です。

雇用契約書と業務委託契約書の違い

役員運転手を手配する際には業務委託契約書を締結する場合もあります。雇用契約書と業務委託契約書の違いは会社と役員運転手の間に雇用関係が生まれるかどうかです。

雇用契約の場合には雇用関係になるため、労働者による労働力の提供に対して使用者が対価を支払う形になります。労使関係になるため、労働法規を遵守して対応することが求められますが、業務委託とは違い、雇用した役員運転手には休日出勤や残業などの労務管理が必要になってきます。

一方、業務委託契約書の場合には会社と役員運転手との間ではなく、専門業者との契約になります。

運転手を個人事業者として業務委託契約を結ぶことは、役員運転手の職務性質上、「拘束性」「使用従属性」があり厚生労働省の「労働者性の判断基準」によると「労働者」みなされる可能性は極めて高くなります。

専門業者を介して運転手を使用する場合は、利用者と運転手の間に雇用関係が生まれません。業務委託の場合には役員の移動に伴う運転業務を委託し、その業務の遂行に対して報酬を支払う契約を締結します。

雇用関係にはないので業務委託先の役員運転手の労務管理などは必要がなく、委託料以外の費用の負担もないのが原則です。なお、雇用契約書と同様に業務委託契約書の作成には法的義務はありません。

しかし、業務内容や委託料などに誤った認識があるとトラブルになるため、業務委託契約書を作成して互いに合意した証拠を作成するのが無難です。

まとめ

役員運転手を雇用する際には雇用契約書を作成しておくことで使用者と労働者が労働条件などに合意した証拠ができます。雇用契約書の作成は法律上の義務ではありませんが、トラブル防止のために雇用時に作成しておくに越したことはありません。

役員運転手の働き方を考慮して詳しい条件を契約内容に盛り込むようにしましょう。

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